
股関節の病気
こんにちは。獣医師の岡松です。 レッグ・カルベ・ペルテス病という股関節の病気があります。大腿骨という太ももの骨の骨頭が壊死してしまい股関節に痛みが出る病気です。4〜12ヶ月齢の成長期の小型犬に見られます。 先日去勢手術で来院した子が少し前から左後ろ足が痛そうとの事で検査をしてみたところ、この病気でした。 レントゲンにて、大腿骨頭の変形と、左後肢の筋肉量低下が確認できます。 原因は詳しく分かっていませんが、遺伝的な要因、ホルモンの影響、解剖学的な要因等が可能性として考えられています。大腿骨頭に繋がっている血管が少なくなってしまい、血流が不足して骨頭が壊死してしまいます。骨頭が壊死して骨が脆くなるため、骨頭の骨が骨折を起こしやすくなってしまいます。骨折が生じると更に痛みが増してしまいます。 治療法は壊死してしまった骨頭部分の骨を手術で切除する方法がよく行われます。骨頭という股関節を形成する部位を切り落としてしまう手術ですが、偽関節という関節が形成されて小型犬の子は次第に歩けるようになる手術です。 今回この病気が見つかった子は、大腿骨頭を切除する事で治

歯肉粘膜フラップ
こんにちは! 院長の北原です。 当院では、歯科処置も数多く行っています。当院で行う歯科処置は、歯石除去や抜歯が中心です。動物の歯科処置は必ず全身麻酔が必要になります。 私が歯医者で自分の親知らずを抜いてもらった時は、抜いた穴はそのまましばらく開いたままで良いとのことで、ご飯粒がよくそこに入り込んでいた記憶があります。 しかし動物では特に犬歯の歯根が大きいため、抜歯をすると大きく穴が空いてしまい、口と鼻が繋がってしまう口腔鼻腔瘻となります。こうなってしまうと鼻腔の感染や誤嚥のリスクがありますので、穴は塞がないといけません。そのため、口腔粘膜で弁を形成し、穴を塞ぐ手術を行います。これを歯肉粘膜フラップといい、当院ではより強固なフラップを形成するためにダブルフラップ法というものを行なっています。 このワンちゃんは重度の歯周病により、常に慢性的な鼻炎症状を呈していました。 術中の写真です。 歯周病により、上顎犬歯の歯肉の退行を認めます。(その他の歯は歯石除去済みです) 犬歯の抜歯を行ったところ。 大きく穴が開き、鼻腔粘膜が見えています。 手術終了。粘膜フ

白猫の耳
こんにちは! 院長の北原です。 連日、忙しい毎日が続いています。土日は100件近くの外来数となるため、待ち時間が最大1時間ほど発生する時間帯もあります。ご迷惑をおかけしておりますが、スタッフ一同頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。 今日は白い猫ちゃんの話です。 この子は「他院で治療中だけど、耳のカサブタが治らない」と来院されました。 白い猫ちゃんです。 私たち獣医師は、「白猫」「耳」「壊死」というキーワードですぐに「扁平上皮癌」という病気を鑑別に挙げます。白い猫は紫外線が要因となり、耳(耳介先端)に腫瘍ができやすいのです。 この子の腫瘍は進行しており、耳の端が大きく欠損していました。自壊部を気にして頭を振るたびに血液が飛び散ります。手術前提で検査をしたところ、高齢ということもあり、慢性腎不全や心筋症などの病気が見つかり、手術に関しては飼い主様とよく相談をしました。 麻酔リスクを含めて迷われていましたが、手術の同意をいただいたため、耳介部の腫瘍切除を行いました。外科マージンを十分に確保し、耳の根本から無事に切除完了。白猫ちゃんも麻酔と手

リンパ腫
こんにちは!獣医師の岡松です。 日本人の2人に1人が生涯でガンになると言われる時代ですが、犬猫の体にも腫瘍ができることがあります。さほど問題にならない良性の腫瘍から悪性の腫瘍まで様々です。 その中の1つにリンパ腫という悪性腫瘍があります。当院でも時折見かける腫瘍です。 リンパ腫は血液のガンともいわれリンパ球という細胞が腫瘍化してしまう病気です。犬猫の場合発生した場所によって複数のタイプに分類されます。全身のリンパ節が腫れるタイプ、胸の中に腫瘍ができるタイプ、消化管に腫瘍ができるタイプ等様々です。 犬では多中心型というリンパ腫が最も多く、犬で発生する約8割を占めると言われています。多中心型リンパ腫は、全身のリンパ節が腫れてくるのが特徴で、進行すると脾臓や肝臓にも広がっていきます。元気食欲の消失、体重減少といったあまり特異的でない症状が見られることが多いです。 猫では猫白血病ウイルスの感染が発症に関与していると言われ、幼若な猫においてもリンパ腫が発生する事があると言われています。老齢の猫では消化管に発生する事も多く、慢性的な下痢嘔吐や、食欲低下、体重