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肝リピドーシス

『肝リピドーシス』が完治した猫のくうた君。

飼い主様の了承を頂き、同じ病気の猫ちゃんたちのために紹介します。

昨年10月に初診で来院した猫のくうた君。

食欲不振にて他院を受診し、「猫は食べなくても大丈夫」と言われたということでしたが、飼い主様が心配して当院に連れてきてくださいました。

一番体重が重かったときは8.4kgだったそうです。しかし来院時は6.5kgでした。

粘膜や皮膚が黄色い状態、黄疸が強く出ていました。

そして各種検査にて、『肝リピドーシス』と診断し、その日から入院治療となりました。

肝リピドーシスとは、猫ちゃんが何らかの基礎疾患により食事が取れなくなると、肝臓に脂肪が蓄積して発症する重度の脂肪肝・肝不全の状態です。特に肥満傾向の猫ちゃんの食欲不振は要注意で、数日でこの状態になってしまいます。

治療は「とにかく十分な蛋白質を補給し続けること」です。

しかし治療開始時期に重い合併症が発生することもあり、また嘔吐のコントロール、脱水と電解質の補正のため、まずは入院治療です。

入院初期は写真のように経鼻カテーテルを設置し、リキッドタイプの食事を与え続けました。経鼻カテーテルは無麻酔で設置できるため、初期治療にはとても有効です。

そしてある程度まで状態が改善したら、全身麻酔をかけて食道チューブを設置します。これは経鼻カテーテルよりも太い径のチューブが使えるため、積極的な栄養給餌と長期間の留置が可能です。首から出たチューブを収納するカバーを、動物看護師が手作りで作成してくれましたので、くうた君も気持ちよく過ごせたと思います。

写真は食道チューブを設置したくうた君、皮下点滴中です。

そして、退院後も飼い主様が本当に頑張って看護をしてくださいました。毎日の自宅での食道チューブからの給餌、そして皮下点滴通院に通っていただき、約3ヶ月かかって本日無事に完治となりました。元気食欲あり、血液検査も正常、食道チューブも抜去して、すっかり健康的な猫ちゃんです!

とにかく治療のためには根気の必要な病気ですが、飼い主様とくうた君が本当に頑張って前向きに闘病してくださり、無事に完治できたことに私たち病院スタッフは心から感謝です!

動物医療センター とよた犬と猫の病院

院長 北原 康大

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